
うちのデスクスタンド、蛍光灯だけどもう買えなくなるって本当?



ダウンライトの蛍光灯が切れたらどうすればいいの?工事が必要?
デスクスタンドや廊下や階段のダウンライトなど、私たちの身の回りの多くの場所で活躍してきたコンパクト蛍光灯。実は、その未来が大きく変わろうとしています。
水銀汚染防止を目的とした国際条約「水俣条約」により、2027年末までに多くの蛍光灯が生産終了となる、いわゆる「2027年問題」。しかし、あまり知られていない事実として、コンパクト蛍光灯は他の多くの蛍光灯よりも1年早い2026年に生産が終了します。
国内トップシェアのパナソニックも、主力製品である「ツイン蛍光灯」の生産を2026年9月末で終了すると発表しています。



後継モデルは基本的にありません。



でも、ランプをLEDに替えればいいだけでしょう?
そう考えるのは自然なことですが、少し注意が必要です。安易な交換は、思わぬトラブルにつながる可能性があるのです。
この記事では、パナソニックのツイン蛍光灯の生産終了という事実に直面した私たちが、今何をすべきなのかを徹底解説します。正しい知識を身につけ、ご自身の状況に合った最適な選択をしましょう。
- なぜパナソニックのツイン蛍光灯が2026年に生産終了するのか
- 口金が同じでも安易にLEDランプに交換してはいけない理由
- 生産終了に備えるための4つの具体的な対策(器具交換、工事、買いだめ等)
- ご家庭の蛍光灯の正しい型番の見方と、光色の選び方
- いざという時のための、ツイン蛍光灯の型番リスト
なぜ?ツイン蛍光灯が生産終了する背景


ツイン蛍光灯が生産終了となる主な理由は、「水銀に関する水俣条約」です。2023年11月の第5回締約国会議(COP5)で、水銀を含む一般照明用の蛍光ランプの製造・輸出入を2027年末までに段階的に禁止することが世界的に合意されました。
この決定を受け、日本でも蛍光灯の生産終了が進められています。中でもコンパクト蛍光灯は、一般の直管蛍光灯よりも早く、2026年に廃止されることが決まりました。パナソニックもこれに則り、ツイン蛍光灯シリーズの生産を2026年9月末で終了することを予定しています。


【ご注意】口金が同じでも安易な交換は危険です
「ツイン蛍光灯は無くなるけど、ネットで同じ口金のLEDランプが売っているから大丈夫」 そうお考えの方も多いかもしれません。しかし、蛍光灯とLEDの仕組みの違いを理解しておくことが重要です。
安定器は「ランプ」ではなく「照明器具」にあります
まず知っておくべきことは、ツイン蛍光灯のようなコンパクト蛍光灯自体には、点灯に必要な「安定器」という部品は内蔵されていないということです。安定器は、照明器具の内部に設置されています。
この安定器は、蛍光灯を点灯させるために不可欠な部品ですが、LEDを点灯させる際には不要です。インターネットなどで販売されている「工事不要」「ツイン蛍光灯互換」を謳うLEDランプの多くは、この照明器具側にある安定器をそのまま利用することを前提に作られています。
「工事不要LED」に潜むリスク


安定器が残ったまま、それに対応していないLEDランプを取り付けると、様々なリスクが生じる可能性があります。
- 発熱・発煙のリスク:日本照明工業会などの専門機関は、劣化した安定器とLEDランプの組み合わせによる発熱・発煙、最悪の場合には火災に至る危険性を指摘しています。
- 安定器の劣化:安定器自体の寿命は約8~10年です。寿命を超えた安定器はそれ自体が故障のリスクを抱えており、ランプをLEDに交換してもそのリスクは解消されません。
- 省エネ効果の低下:本来LEDには不要な安定器が稼働し続けることで、余分な電力を消費し、LED本来の省エネ性能が十分に発揮されないことがあります。
- メーカー保証の対象外:パナソニックをはじめとする大手照明メーカーは、既存の蛍光灯器具にLEDランプを取り付けることを推奨しておらず、行った場合は器具のメーカー保証の対象外となります。
こうした理由から、専門家は安易なランプ交換に警鐘を鳴らしています。口金の形が同じというだけで判断するのではなく、仕組みとリスクを理解することが大切です。
どうすればいい?生産終了に向けた4つの具体的な選択肢
では、私たちは具体的にどうすればよいのでしょうか。ご自身の状況や予算に合わせて選べる、4つの具体的な選択肢をご紹介します。
選択肢1:LED照明器具に丸ごと交換する



最も安全で、長期的に見て最もおすすめできる方法です。
- メリット:
- 根本的な解決になり、最も安全性が高い。
- 最新のLEDは省エネ性能が高く、電気代の削減が期待できる。
- 長寿命(約40,000時間)なので、ランプ交換の手間がほぼなくなる。
- デメリット:
- 初期費用(器具代+工事費)が他の方法より高くなる。
デスクスタンドなど、工事不要でコンセントに挿すだけのタイプであれば、ご自身で器具ごと買い替えるのが簡単です。ダウンライトなどの交換には電気工事士の資格が必要になります。


選択肢2:安定器を外す「バイパス工事」をしてLEDランプに交換する
既存の照明器具のデザインが気に入っている場合や、器具の交換が難しい場合に有効な方法です。
- メリット:
- 既存の器具を活かせるため、デザインや部屋の雰囲気が変わらない。
- 器具ごと交換するより費用を抑えられる場合がある。
- デメリット:
- 電気工事士の資格を持つ専門業者による工事が必須。
- 工事費用がかかる。
この工事で不要な安定器を電気回路から切り離すことで、安全にLEDランプを使用できます。必ずお近くの電気工事店に相談しましょう。
選択肢3:【当座の対策】ツイン蛍光灯を「買いだめ」する


「工事はまだ考えられない」「費用をかけたくない」という方にとって、最も手軽な選択肢が、今のうちにツイン蛍光灯の在庫を確保しておくことです。
- メリット:
- 工事不要で、ランプ代だけで済むため最も安価。
- 今まで通り、ランプを交換するだけで照明を維持できる。
- デメリット:
- メーカーの生産が終了すれば、いずれ在庫はなくなる(あくまで一時しのぎの対策)。
- 前述の通り、安定器の寿命(約8~10年)がくれば、いずれ器具ごとの交換が必要になる。
ご使用の照明器具がまだ新しく、安定器の寿命に余裕がある場合には有効な手段です。生産終了が近づくと、市場では品薄や価格高騰が予想されます。今のうちに、必要な型番の蛍光灯を複数本ストックしておくことを検討する価値はあります。
選択肢4:口金変換ソケットを利用する
これは、ツイン蛍光灯の特殊な口金を、一般的な電球の口金(E26など)に変換するアダプターです。ただし、これも選択肢2のバイパス工事を行って安定器を撤去した上で使用するのが前提です。安定器が残ったままでは、同様のリスクがあります。
どのランプ?ツイン蛍光灯の種類と型番の確認方法
「買いだめ」や「LEDへの交換」を検討する上で、まず最も重要なのが現在使っている蛍光灯の正しい型番を確認することです。そのために、まずはツイン蛍光灯の種類から見ていきましょう。
ツイン蛍光灯の主な種類
パナソニックのツイン蛍光灯には、ガラス管の組み合わせ方によって、主に以下の種類があります。
種類 | 形状 | 主な型番の始まり | 特徴 |
---|---|---|---|
ツイン1 | 2本ブリッジのU字形 | FPL FPR | デスクスタンドや一般照明で最も普及しているタイプ。 |
ツイン2 | 4本束状ブリッジ | FDL | 主にダウンライトで使用される、コンパクトなタイプ。 |
ツイン2パラレル | 4本平面ブリッジ | FML FMR | 薄型の器具に使用される、平面的な形状。 |
ツイン3 | 6本束状ブリッジ | FHT | 高いワット数が求められるダウンライトなどで使用。 |
Hfツイン1 | 2本ブリッジ(Hf式) | FHP | 高周波点灯専用(Hf)器具で使用される高効率タイプ。 |
型番はどこで確認する?
ご自身のランプがどの種類か分かったら、次は具体的な型番を確認します。型番はランプの根元にあるプラスチック部分に印字されています。安全のため、照明のスイッチを切ってから取り外して確認してみましょう。
型番の意味を理解しよう


例えば、FDL18EX-N F3 という型番があったとします。これは、(1)形状 (2)ワット数 (3)光色 (4)管理記号
の4つの部分に分かれています。
FDL | 18 | EX-N | F3 |
---|---|---|---|
(1) | (2) | (3) | (4) |
(1) ランプの形状
- FPL、FPR: ツイン1
- FDL: ツイン2
- FML、FMR: ツイン2パラレル
- FHT: ツイン3
- FHP: Hfツイン1
(2) ランプの消費電力(ワット数)
- 数字の部分が消費電力を表します。例では18Wです。この数字が一致しないと、長さや口金が異なり使用できません。
(3) 光色/波長
- EX-L、EL: 電球色
- EX-WW、EWW: 温白色
- EX-W、EW: 白色
- EX-N、EN、ENW: ナチュラル色
- EDW、EX-D、ED、ECW: クール色
(4) 内部管理記号
R
、F2
、F3
、F3D
などの英数字です。これはメーカーの管理記号であり、この記号の有無や違いはランプの互換性に影響しません。



交換する際は、(1)ランプの形状と(2)ワット数が完全に一致していることが絶対条件です。
光色の種類と特徴を知って、最適な空間を演出しよう
光の色は、お部屋の雰囲気や用途に合わせて選ぶことができます。末尾の記号によって色が異なり、それぞれ以下のような特徴があります。
記号 | 名称 | 色温度 | 特徴 | おすすめの場所 |
---|---|---|---|---|
L | 電球色 | 3000K | 暖かみのあるオレンジ系の光。リラックスできる雰囲気を作る。 | リビング、寝室、和室 |
WW | 温白色 | 3500K | 電球色と白色の中間の、落ち着いた光。 | リビング |
W | 白色 | 4200K | 少し黄みがかった、穏やかな白い光。 | オフィス、キッチン |
N | ナチュラル色 (昼白色) | 5000K | 最も太陽光に近い自然な白い光。物の色が鮮やかに見える。 | リビング、キッチン、洗面所、書斎 |
D | クール色 (昼光色) | 6700K | 青みがかった涼しげな光。集中力を高める効果も。 | 書斎、勉強部屋、アトリエ |
現在と同じ色を選ぶのが基本ですが、この機会に部屋の用途に合わせて色を変えてみるのも良いかもしれません。


【保存版】パナソニック ツイン蛍光灯 型番リスト
以下に、主なツイン蛍光灯の型番シリーズをまとめました。ご自宅の蛍光灯を探す際の参考にしてください。
- ツイン1 (FPL/FPRシリーズ): FPL4, FPL6, FPL9, FPL13, FPL18, FPL27, FPL28, FPL36, FPL55, FPR96
- ツイン2 (FDLシリーズ): FDL9, FDL13, FDL18, FDL27
- ツイン2パラレル (FML/FMRシリーズ): FML9, FML13, FML18, FML27, FML36, FML55, FMR96
- ツイン3 (FHTシリーズ): FHT16, FHT24, FHT32, FHT42
- Hfツイン1 (FHPシリーズ): FHP23, FHP32, FHP45
まとめ:タイムリミットは目前!計画的な準備を
パナソニックのツイン蛍光灯をはじめとするコンパクト蛍光灯の生産終了は、2026年と目前に迫っています。
「まだ使えるから」と先延ばしにしていると、いざ切れた時に「交換するランプがない!」という事態になりかねません。また、期限が近づくにつれて、LED照明器具の需要が高まり、価格の上昇や、交換工事を依頼する電気工事士の確保が難しくなることも予想されます。



改めて、あなたの取るべき行動を整理しましょう。
- 長期的な安心と省エネを求めるなら → LED照明器具への交換を計画する。
- 今の照明器具を活かしたいなら → 専門業者にバイパス工事を相談する。
- 当面の対策として手軽に済ませたいなら → 安定器の寿命を確認の上、ツイン蛍光灯を今のうちに買いだめしておく。
いずれの方法を選ぶにせよ、早めに計画を立てて行動することが、将来の「困った」を避ける一番の対策です。まずはご自身の照明器具の種類と型番を確認するところから始めてみましょう。