
家の蛍光灯が切れたけど、種類がたくさんあってどれを買えばいいの?



型番を見てもチンプンカンプン…
そんなお悩みを抱えていませんか?蛍光灯は形や光の色、点灯方式など、本当に多くの種類があり、間違ったものを買ってしまうと「取り付けられない」「点灯しない」といったトラブルにもなりかねません。
この記事では、照明メーカーに勤務している私が、蛍光灯選びで失敗しないための「種類の見分け方」と「型番の読み解き方」を、誰よりも詳しく、そして分かりやすく解説します。



この記事を読めば、もう蛍光灯選びで迷うことはありません!
- 蛍光灯の主な種類(形状と点灯方式)
- 型番から読み取れる情報(種類、ワット数、光色、特徴など)
- 自宅の照明器具に合う蛍光灯の簡単な見つけ方
- 蛍光灯選びで絶対に失敗しない注意ポイント
- 蛍光灯からLEDへの交換メリットと方法
蛍光灯の種類と形状による見分け方を徹底解説!
蛍光灯を選ぶ際に最初に知っておきたいのは、「形状」と「点灯方式」の2つです。この2つがわかれば、蛍光灯選びの9割は解決します!
蛍光灯の種類を形状で見分ける【4つの基本タイプ】
ご家庭でよく使われる蛍光灯の形は主に以下の4タイプです。
1. 直管(ちょっかん)蛍光灯


- 特徴: オフィスやキッチン、廊下など、最もよく見かける棒状の蛍光灯
- サイズ: 20W(580mm)、40W(1198mm)が一般的
- 口金: G13(ピンが2本出ている)
- 代表的な型番例: FL20SS, FLR40S, FHF32
2. 環形(かんけい)蛍光灯


- 特徴: リビングや和室の天井照明(シーリングライト)でよく使われる円形の蛍光灯。サークライン、サークル菅蛍光灯、丸型蛍光灯、円形蛍光灯とも呼ばれます。
- サイズ: 30W(直径30cm)、32W(直径34cm)、40W(直径38cm)が一般的
- 口金: G10q, GX10q(丸い穴に4本ピン)
- 代表的な型番例: FCL30, FCL32, FCL40
3. コンパクト形蛍光灯


- 特徴: ダウンライトやスポットライト、デスクスタンドなどで使用される小型の蛍光灯
- 形状: U字型、2本、3本、4本などの管が一体化したデザイン
- 口金: G23, GX24, 2G11など様々
- 代表的な型番例: FPL, FDL, FHT, FML
4. 電球形蛍光灯


- 特徴: 一般電球のソケットに直接取り付けられる電球型の蛍光灯
- 口金: E26(一般的な電球サイズ), E17(小型電球サイズ)
- 代表的な型番例: EFA, EFD, EFG
蛍光灯の点灯方式による4つの区分
蛍光灯は点灯させるための「点灯方式」によっても種類が分かれます。これは特に直管蛍光灯で重要です!
1. スタータ形(グロースタータ形)
- 特徴: 点灯時に「チカチカ」と点滅してから点くタイプ
- 見分け方: 器具に「グローランプ」(点灯管)という小さな部品がある
- 代表的な型番:
- 直管: FLで始まる型番(FL20SS, FL40S など)
- 環形: FCLで始まる型番(FCL30, FCL32, FCL40 など)
2. ラピッドスタート形
- 特徴: グローランプなしでスイッチを入れるとすぐに点灯
- 見分け方: 器具にグローランプのソケットがない
- 代表的な型番: FLRで始まる型番(FLR40S, FLR20 など)
3. 高周波点灯専用形(インバーター形)
- 特徴: 省エネ・高効率で、ちらつきも少ない最新タイプ
- 見分け方: 器具に「Hf」や「インバーター」の表示がある
- 代表的な型番:
- 直管: FHFで始まる型番(FHF32, FHF16 など)
- 環形: FHCで始まる型番(FHC27, FHC34 など)- スリム環形タイプ
4. 電子スタート式 (グローソケットなし)
- 特徴: グローランプのソケットがないにも関わらず、FL型のランプを使用
- 見分け方: 器具にグローランプのソケットがなく、銘板(仕様ラベル)などに「電子スタート式」と表示
- 代表的な型番:
- 直管: FLで始まる型番を使用(FL20SS, FL40S など)
- 環形: FCLで始まる型番を使用(FCL30, FCL32 など)
照明器具には適合する点灯方式が決まっています。間違った組み合わせを使うと、点灯しない、暗い、ちらつく、最悪の場合は照明器具が故障する原因になります。
詳しくは後述の「蛍光灯選びの注意点」で解説します。
蛍光灯の型番と種類の見分け方!これで買い間違いしない!
蛍光灯選びで最も確実なのは、今使っている蛍光灯に書かれている「型番」を確認し、同じものを購入することです。型番には、その蛍光灯の仕様に関するすべての情報が詰まっています。
もちろん、型番の読み方を理解すれば、ご自身で適切な蛍光灯を選ぶことができます。しかし、「すぐに適合する蛍光灯を知りたい」「型番を読み解くのは少し面倒」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
そのような場合は、以下の「蛍光灯型番解読ツール」をご活用ください。お手元の蛍光灯の型番を入力するだけで、簡単に仕様を確認できます。
蛍光灯型番解読ツール
型番を入力して解読ボタンを押してください。
注意: このツールは参考情報です。正確な仕様については各メーカーの資料をご確認ください。



それでは、蛍光灯の型番が具体的にどのような情報を示しているのか、その基本構造について詳しく見ていきましょう。
蛍光灯の型番の読み方と見分け方を徹底解説


1. 種別コード(最初のアルファベット)
型番の最初のアルファベットは、蛍光灯の種類(形状や管径など)を示しています。これはJIS規格で定められていることが多く、メーカーが異なっても共通の場合が多いです。
【直管蛍光灯】
- FL: 直管・スタータ形
- FLR: 直管・ラピッドスタート形
- FHF: 直管・Hf専用形(高周波点灯専用形)
【環形蛍光灯】
- FCL: 環形・スタータ形
- FHC: 環形・Hf専用形(スリムタイプ)
- FHD: 二重環形・Hf専用形(パナソニック ツインパルックなど)
【コンパクト形蛍光灯】
- FPL: コンパクト形(シングルU字管)
- FML: コンパクト形(ダブルU字管)
- FHT: コンパクト形(トリプルU字管)
- FDL: コンパクト形(4本チューブ接続)
- FHP: コンパクト形・Hf専用形(高効率タイプ)
【電球形蛍光灯】
- EFD: 電球形(D形)
- EFG: 電球形(G形・ボール形)
- EFA: 電球形(A形・一般電球形)
2. 大きさの区分(種別コードの後の数字)
型番の種別コードに続く数字は、蛍光灯の「大きさの区分(形)」を示します。
- 例:
FL
20
SS EX-N/18
→ 20形(サイズ区分)
この数字は「形」と呼ばれる大きさの規定パターンで、蛍光灯のサイズを示しています。例えば直管蛍光灯では「20形の長さは580mm」というように形によってサイズが決まっています。
また、「32形=32W」のように、この数値は基本的に消費電力(ワット数)と一致します。ただし、省電力タイプでは実際の消費電力が異なることがあります(下記5の項目参照)。
環形蛍光灯の場合:
- FCLはワット数(FCL30 = 30W形)
- FHCはサイズ区分(FHC27 = 直径27cm)を示します
3. 管径・形状コード(ワット数の後、光色の前)
主に直管蛍光灯で見られ、管の太さを示します。
- SS: 管径 28mm
- S: 管径 32.5mm (省略されることも多い)
例: FL20
SS
EX-N/18
→ SSは管径28mm
4. 光色・波長コード(アルファベット1~3文字)
蛍光灯の光の色を表します。
- D: 昼光色(クール色、青みがかった白い光、約6500K)
- N: 昼白色(ナチュラル色、自然な白い光、約5000K)
- W: 白色(やや黄みがかった白い光、約4200K)
- L: 電球色(温かみのあるオレンジ色の光、約3000K)
「EX-」が付くとより明るく色鮮やかに!
光色コードの前に EX-
が付いているものは「3波長域発光形」と呼ばれ、色の見え方(演色性)が良く、明るさも向上したタイプです。
- EX-D: 3波長形昼光色
- EX-N: 3波長形昼白色
- EX-W: 3波長形白色
- EX-L: 3波長形電球色
例: FL20SS
EX-N
/18
→ 3波長形昼白色
5. 実際の消費電力(スラッシュ / またはドット ・ の後の数字)
一部の蛍光灯では、標準の形(サイズ区分)よりも消費電力を抑えた省電力タイプがあります。その場合、スラッシュ /
またはドット ・
の後に実際の消費電力が記載されます。
- 例:
FL20SS・EX-N/
18
→ 標準20W形だが、実際の消費電力は18W - 例:
FLR40S・EX-N/M/
36
→ 標準40W形だが、実際の消費電力は36W
6. 特殊仕様・メーカー独自コード(末尾または / の後)
型番の末尾には、メーカー独自のシリーズ名や特殊機能を示す記号が付くことがあります。
- /M や M-X: ラピッドスタート形の始動方式の種類
- /H や -H: 長寿命タイプ
- -P や -Z: 高機能・長寿命シリーズ(東芝の「プライド」や「メロウZ」など)
- A: パナソニックの「パルックプレミア」シリーズ
- SHG: ホタルクス(旧NEC)の「ホタルックα」(残光機能付き)
- NU: 美術・博物館用(UVカット)(パナソニック)
自宅の照明に合う蛍光灯の種類と選び方|4つの簡単ステップ
1. 切れた蛍光灯の型番を確認


これが最も確実です。型番全体をメモするか、スマホで写真を撮っておきましょう。
2. 照明器具本体の銘板(めいばん)を確認


蛍光灯を取り付ける器具本体にも、適合するランプの種類やワット数が記載されている銘板シールが貼られていることが多いです。「FL20W用」「FCL30形」「Hf専用」などの表示を確認しましょう。これが最も重要な情報です!



器具の銘板シールに適合ランプの型番が記載されていることをご存じない方が多いため、家電量販店には切れてしまった蛍光灯をわざわざ持参されるお客様が少なくありません。
3. グローランプの有無を確認


直管蛍光灯の場合、器具にグローランプ(点灯管)のソケットがあるかどうかも点灯方式を見分けるヒントになります。
- グローランプあり → スタータ形(FL)
- グローランプなし → ラピッド形(FLR)、Hf形(FHF)、または電子安定器形(FL用)



誤装着すると、点灯しないだけでなく、器具の故障や発熱の原因になることがあります!
- グローランプ(スタータ):蛍光灯を点灯させるための点灯管。スターター方式の蛍光灯器具に使用。
- ナツメ球(常夜灯):常夜灯やサイン灯などに使われる小型電球。常に点灯してやさしい明かりを提供。
4. 口金(ソケット)の形状を確認
特にコンパクト形蛍光灯や電球形蛍光灯は、口金の形状が違うと取り付けられません。必ず同じ形状のものを選びましょう。
- 直管: G13(2本ピン)
- 環形: G10q, GX10q(丸い穴に4本ピン)
- コンパクト形: G23, GX24, 2G11など様々
- 電球形: E26(一般電球サイズ), E17(小型電球サイズ)


【注意!】蛍光灯の種類と点灯方式|選び方で失敗しないための3つのポイント
1. ワット数(またはサイズ)を必ず合わせる
基本的に同じワット数(または環形のサイズ区分)のものを選びます。
2. 蛍光灯の光色と種類を選ぶ
今までと同じ色が良いか、部屋の用途に合わせて変えたいか検討しましょう。
- 昼光色(D): 事務所、工場など(集中して作業する場所)
- 昼白色(N): キッチン、洗面所など(家庭の一般的な場所)
- 電球色(L): リビング、寝室など(くつろぐ場所)


3. 【最重要】点灯方式の組み合わせ間違いに注意!
直管蛍光灯の場合、照明器具の点灯方式(安定器の種類)と、使用する蛍光ランプの種類(FL, FLR, FHF)を正しく組み合わせる必要があります。
間違った組み合わせで使用すると、以下のような不具合が発生する可能性があります:
- 点灯しない
- 点灯しても暗い、ちらつく
- ランプの寿命が極端に短くなる(数時間~数日で切れることも)
- ランプの端が異常に黒くなる
- 安定器(器具)の故障、寿命低下



必ず、照明器具本体に表示されている適合ランプを確認してください!
【照明器具とランプの適合表】
照明器具の種類 (安定器) | 適合ランプ | FLランプ使用 | FLRランプ使用 | FHFランプ使用 |
---|---|---|---|---|
スタータ形 (グローランプ有り) | FL | (正常) | (点灯しないか暗い) | (使用不可) |
ラピッドスタート形 (グロー無し) | FLR | (点灯しないか不安定) | (正常) | (使用不可) |
Hf(インバーター)形 (グロー無し) | FHF | (使用不可) | (使用不可) | (正常) |
電子安定器形 (FL用・グロー無し) | FL | (正常) | (点灯しないか不安定) | (使用不可) |
【次のステップへ】蛍光灯からLED照明への交換で電気代も手間も大幅削減!
ここまで蛍光灯の種類と見分け方について解説してきましたが、2027年末には蛍光灯の製造と輸出入が禁止されることが決定しています。これを機に照明器具ごとLED照明に交換することをおすすめします。


LED照明に交換するメリット
- 省エネで電気代がお得:従来の蛍光灯と比べて約50%の電気代削減
- 長寿命で交換の手間が減る:蛍光灯の寿命約6,000時間に対し、LED照明は40,000時間以上
- スイッチを入れるとすぐに明るくなる:蛍光灯のようなウォームアップ時間がない
- 紫外線が少なく虫が寄りにくい:夏場の虫対策にも効果的
- 水銀不使用で環境にやさしい:廃棄時の環境負荷も小さい
LED照明への交換は器具ごと交換が安全
蛍光灯型LED(工事不要タイプ)ではなく、照明器具ごとLED照明に交換することを強くおすすめします。理由は以下の通りです:
- 専門機関の推奨:日本照明工業会も、蛍光灯のLED化は器具ごと交換を推奨しています。
- 安全性の問題:蛍光灯器具に工事不要のLEDランプを取り付けると、種類や施工方法によっては火災などの重大事故の恐れがあります。
- 効率の問題:工事不要で使用することには節電効果の低下や事故の原因など多くのデメリットが存在します。
- 寿命の問題:安定器を放置したままLED照明を使用すると、使用していなくても通電しているため、LED照明の寿命を損なうことになります。
この機会にLED照明への交換をお考えの方は、ぜひ以下の記事もあわせてご覧ください。


まとめ:蛍光灯の種類と見分け方|蛍光灯選びの3ステップ
蛍光灯選びは、以下の3ステップで簡単に解決できます。
- 器具の表示で「点灯方式」と「ワット数」を確認
- FL, FLR, FHFのどのタイプが適合するか確認
- 必要なワット数やサイズを確認
- ランプの型番で「種類」「ワット数」「光色」などを確認
- FL, FCL, FHFなどの最初の記号でランプの「種類」を判断
- 続く数字で「ワット数(サイズ)」を判断
- D, N, W, L や EX- の記号で「光の色」を判断
- 【最重要】器具とランプの「点灯方式」を必ず合わせる!
- 間違った組み合わせは器具の故障の原因になります
この記事を参考に、ご自宅にぴったりの蛍光灯を見つけて、安全で快適な明かりを手に入れてくださいね。
そして、電気代の節約や長い目で見た経済性を考えるなら、LEDへの交換も検討してみてはいかがでしょうか?