
蛍光灯の電気がチカチカする…



新しい蛍光灯に交換したのに、電気がつかない!
そんな経験はありませんか?その原因、実は「グローランプ」の寿命かもしれません。
グローランプは、一見するとただの小さな部品ですが、特定の蛍光灯を点灯させるために不可欠な「スターター」の役割を担っています。しかし、その重要性や選び方、交換方法については意外と知られていません。
この記事では、「グローランプとは何か?」という基本から、以下の内容を網羅的に、そして誰にでも分かるように徹底解説します。
- グローランプの役割と仕組み、ナツメ球との違い
- あなたの家の照明にグローランプが必要かどうかの【超重要】な見分け方
- ワット数や口金、種類(電子点灯管など)に応じた正しい選び方
- 安全で簡単な交換手順と、交換しても点かない時の対処法
- 蛍光灯の生産終了に伴うグローランプの未来とLED化のすすめ
この記事を最後まで読めば、あなたはグローランプに関するあらゆる疑問を解消し、ご自宅やオフィスの蛍光灯トラブルを自分で解決できるようになります。もう、チカチカする明かりに悩まされることはありません。



それでは、奥深いグローランプの世界へご案内します。
そもそもグローランプ(点灯管)とは?
まず、グローランプがどのような部品なのかを理解しましょう。「点灯管」「グロー管」「グロースターター」など様々な名前で呼ばれますが、すべて同じものを指します。
グローランプの役割は「蛍光灯のエンジン」
グローランプの役割を一言でいうと、「グロースターター方式」の蛍光灯を点灯させるためのスターターです。
車でエンジンをかける時にキーを回したり、スタートボタンを押したりしますよね。グローランプは、蛍光灯にとってのまさにその「スタートボタン」の役割を果たしています。
もう少し専門的に説明すると、グローランプは蛍光灯が放電を開始(点灯)するために必要な高電圧を一時的に発生させるための装置です。電源を入れたときに内部で放電し、バイメタル(2種類の金属を貼り合わせた板)の働きで回路を開閉することで、安定器(電流を安定させる装置)に高電圧のパルスを発生させ、蛍光灯を点灯に導きます。
この仕組みのため、グロースターター方式の蛍光灯は、スイッチを入れてから「チカチカ…」と数回点滅した後にパッと点灯するという特徴があります。この「チカチカ」は、グローランプがまさに仕事をしている証拠なのです。



車のエンジンをかけるときの「キュルキュル…」と同じですね。
よくある間違い!「ナツメ球」との違い


グローランプとよく間違えられるものに「ナツメ球」があります。どちらも小さく、形状が似ているため混同されがちですが、役割は全く異なります。
項目 | グローランプ(点灯管) | ナツメ球(常夜灯) |
---|---|---|
役割 | 蛍光灯を点灯させるためのスターター | 夜間の補助照明(豆電球) |
光り方 | 点灯時の一瞬だけ内部でオレンジ色に光る | 単独で常時点灯し続ける |
取り付け場所 | 蛍光灯のすぐそば | 照明器具の端など独立した場所 |
目的 | 点灯させること | 照らすこと |
寿命 | 約6,000回~(点灯回数で消耗) | 約3,000時間~(点灯時間で消耗) |
【最重要】あなたの照明にグローランプは必要?確実な見分け方



うちの蛍光灯にもグローランプはついているの?
この疑問を解決することが最初のステップです。ここでは、信頼性の高い順に4つの見分け方を紹介します。
見分け方①:光り方で判断する



まず試すべき最も簡単で確実な方法です。照明のスイッチを入れてみてください。
- チカチカ…と2~3回点滅してから点灯する
- → グロースターター方式です。グローランプが必ず必要です。
- スイッチを入れると、瞬時にパッ、またはフワッと点灯する
- → インバーター方式、ラピッドスタート方式、または電子スタート方式です。いずれもグローランプは不要です。
見分け方②:照明器具本体の「銘板」を確認する


照明器具本体のカバーを外した内側や側面には、仕様が書かれた「銘板(めいばん)」というシールが貼られています。ここを見れば、点灯方式、もしくは適合ランプがわかります。
「グロー式」「グロースタート式」「GL式」などと記載されている場合は、グローランプ(スターター)が必要です。
ただし、点灯方式が明記されていない器具もあります。その場合は、適合ランプの型番から点灯方式を判断してください(※詳しくは「見分け方④」で解説しています)。
見分け方③:照明カバーを外して「現物」を確認する


- 照明器具のカバーを外します。
- 蛍光灯(ランプ)の近くを見てみましょう。
- 直管蛍光灯の端、丸形(サークル管)蛍光灯の接続コネクタの近くなどに、小さなねじ込み式または差し込み式の部品があれば、それがグローランプです。
ただし、ダウンライトなど器具の奥深くにあって見えない場合もあるため、見当たらなければ他の方法で確認しましょう。
見分け方④:蛍光灯の「型番」で判断する


蛍光灯の型番は、あくまで「ヒント」として活用してください。なぜなら、同じ型番の蛍光灯でも、グロースターター式の器具と電子スタート式の器具の両方に使われることがあるからです。
グローランプが【不要】な蛍光灯
以下の型番から始まる蛍光灯は、インバーター(Hf)式やラピッドスタート式専用なので、グローランプは使いません。
型番の始まり | 蛍光灯の名称・種類 |
---|---|
FHF | Hf蛍光灯(主に直管) |
FHC | スリム環形蛍光灯(スリムパルックなど) |
FHD | 二重環形蛍光灯(ツインパルックなど) |
FLR | ラピッドスタート式蛍光灯(主に直管) |
FDL, FPL, FML, FHT, FPR, FMR | コンパクト形蛍光灯(ツイン管など) |
「FPL」や「FDL」などのコンパクト蛍光灯は、注意が必要です。これらのランプは基本的に電子安定器を使用するため、グローランプを必要としないケースが多いです。ダウンライトやデスクスタンドなどでグローランプが見当たらないのは、このようなグローランプ非対応の点灯方式が採用されているためです。ただし、一部の古い照明器具にはグローランプ(グロースターター)を使用するタイプも存在します。そのため、「FPL」や「FDL」などの型番だけでは、グローランプが必要かどうかを判断することはできません。実際の器具の構造(安定器の種類)を確認することが重要です。
グローランプが【必要な可能性がある】蛍光灯
以下の型番から始まる蛍光灯は、グロースターター式の器具で使われることが多いタイプです。
型番の始まり | 蛍光灯の名称・種類 |
---|---|
FL | 一般的な直管蛍光灯 |
FCL | 一般的な丸形(サークル管)蛍光灯 |
【実践編】グローランプの正しい選び方|3つのステップ



グローランプが必要なことが分かったら、次は交換用の正しい製品を選びましょう。
ステップ1:蛍光灯の型番やワット数に適合するものを選ぶ【最重要】
グローランプは、それぞれ適合する蛍光灯が細かく決められています。必ず、今お使いの蛍光灯の型番(例:FL20SS/18)やワット数を確認し、下の表で適合するグローランプを選んでください。
■ 一般的なグローランプ(点灯管)の適合表
グローランプ品番 | ワット数の目安 | 主な適合蛍光灯(型番) |
---|---|---|
FG-7E (E17口金) | 4~10W形 | FDL9, FL4, FL6, FL8, FL10, FML9, FPL4, FPL6, FPL9 |
FG-7P (P21口金) | 4~10W形 | GL-4, GL-6, GL-8, GL-10 |
FG-1E (E17口金) | 10~30W形 | FCL15, FCL20/18, FCL30/28, FCL30, FDL13, FDL18, FDL27, FHL27, FL10, FL15, FL20SS/18, FL20S, FL30S, FML13, FML18, FML27, FPL13, FPL18, FPL27 |
FG-1P (P21口金) | 10~30W形 | FML13, FML18, FML27, FPL13, FPL18, FPL27, GL-15, GL-20 |
FG-4P (P21口金) | 40W形 | FCL40/38, FL40SS/37, FL40S, FML36, FPL36, GL-30, GL-40 |
FG-5P (P21口金) | 32W形 | FCL32/30, FL32S, FPL28 |
ステップ2:口金の形「E型」と「P型」を確認する
グローランプの取り付け部分(口金)には2種類あります。必ず、今ついている現物を確認してください。
- E型(ねじ込み式): 型番末尾が「E」(例: FG-1E)金属のネジ式(口金E17)
- P型(差し込み式): 型番末尾が「P」(例: FG-1P)プラスチックの差込式(口金P21)
ステップ3:グローランプの種類を選ぶ(通常・長寿命・電子点灯管)
性能や寿命によって3つのタイプから選べます。
① 一般的なグローランプ
最も安価な標準品。
② 長寿命タイプ
標準品の約3倍長持ちします。交換の手間を減らしたい高い場所の照明などにおすすめです。
③ 電子点灯管(電子グロー)
高価ですが、瞬時に点灯し、寿命は標準品の約10倍と非常に高性能です。
電子点灯管の適合表
電子点灯管 品番 | ワット数の目安 | 主な適合蛍光灯(型番) |
---|---|---|
FE7E (E17口金) | 4~15W形 | FCL15, FDL9, FDL13, FL4, FL6, FL8, FL10, FL15, FML9, FML13, FPL4, FPL6, FPL9, FPL13 |
FE1E (E17口金) | 10~30W形 | FCL15, FCL20/18, FCL30/28, FCL30, FDL9, FDL13, FDL18, FDL27, FHL27, FL10, FL15, FL20SS/18, FL20S, FL30S, FML9, FML13, FML18, FML27, FPL9, FPL13, FPL18, FPL27 |
FE4P (P21口金) | 40W形 | FCL40/38, FL40SS/37, FL40S, FPL36 |
FE5P (P21口金) | 32W形 | FCL32/30, FL32S, FPL28 |
グローランプの交換方法とトラブルシューティング
安全な交換手順(所要時間:約3分)
- 【最重要】壁スイッチを必ずOFFにし、できればブレーカーも落とす。
- 安定した足場を確保し、照明カバーを外す。
- 古いグローランプを外す。(E型は反時計回り、P型は押しながら反時計回り)
- 新しいグローランプを取り付ける。(取り外しの逆手順)
- カバーを戻し、ブレーカーとスイッチを入れて点灯を確認する。
【困った!】両方交換しても電気がつかない場合
蛍光灯とグローランプを新品にしても点灯しない場合、「安定器(あんていき)」の故障が考えられます。安定器の寿命は約8~10年です。安定器の交換は電気工事士の資格が必要なため、絶対に自分で行わないでください。
この場合は、修理を依頼するか、使用年数が長ければ照明器具ごとLEDに交換するのが賢明です。


蛍光灯とグローランプの未来|LED化への流れ
2019年までに国内メーカーは蛍光灯器具本体の生産を終了しており、交換用ランプも水俣条約の影響で2027年以降は入手が困難になる可能性が高いです。グロースターター式の蛍光灯がなくなれば、グローランプも市場から姿を消します。
不具合を機に、長寿命・省エネ・多機能なLED照明へ器具ごと交換することを強くおすすめします。






まとめ|グローランプを理解して快適な明かりを手に入れよう
最後に、重要なポイントをまとめます。
- グローランプは「グロースターター式」の蛍光灯を点灯させるための部品。
- コンパクト蛍光灯(FPL, FDL等)は型番だけでは判断不可。必ず器具の方式を確認する。
- 選び方の最重要ポイントは「蛍光灯の型番」に適合するものを選ぶこと。適合表で必ず確認する。
- 交換しても点かない場合は「安定器」の寿命かも。その際はLED照明への器具交換を検討しよう。
この記事を参考に、ご自宅の照明を正しくメンテナンスし、快適で経済的な照明環境を手に入れましょう。