
LED照明の電気代ってホントに安いのかな?



蛍光灯の照明を使ってるけど、LEDに変えるべきかな?
毎日使う照明だからこそ、種類による違いや電気代への影響は気になりますよね。かつて主流だった白熱電球や蛍光灯から、近年はLED電球へと移行が進んでいます。(2027年の蛍光灯生産終了も迫っています。)
この記事では、照明メーカーに勤務している私が、それぞれの電球の特徴、メリット・デメリット、そして最も気になる「電気代」や「交換方法」、LEDならではの「便利な機能」について、わかりやすく比較・解説します。ご自宅の照明選びの参考に、ぜひ最後までお読みください。
- 白熱電球、蛍光灯、LED電球の基本的な仕組みと特徴
- それぞれのメリット・デメリット
- 種類ごとの寿命や明るさの違い
- 【重要】どの電球が一番電気代を節約できるのか
- LED照明の便利な機能(調光・調色・タイマー・防虫など)
- 蛍光灯シーリングライトからLEDへの買い替え判断ポイント
- 引掛けシーリングとは? 簡単取り付けについて
- 蛍光灯器具にLEDランプだけ交換する際の注意点
電球の種類別解説:白熱電球・蛍光灯・LED
現在、家庭用照明として主に使われているのは「白熱電球」「蛍光灯」「LED電球」の3種類です。それぞれの特徴を見ていきましょう。
1. 白熱電球


- 仕組み: 電球内のフィラメント(細い金属線)に電気を流し、高温にすることで光を発生させます。
- メリット:
- 価格が安い。
- 温かみのある光色。
- 点灯が速い。
- デメリット:
- 消費電力が非常に大きい。
- 寿命が短い(約1,000~2,000時間)。
- 発熱量が多く、夏場は部屋の温度上昇につながることも。
- 衝撃に弱い。
- 現在、省エネの観点から生産・販売が縮小傾向にある。
- 電気代: 3種類の中で最も高い。
2. 蛍光灯


- 仕組み: ガラス管内の水銀ガスに電気を流して紫外線を発生させ、管の内側に塗られた蛍光塗料を光らせます。
- メリット:
- 白熱電球に比べて消費電力が少なく、寿命が長い。
- 比較的広い範囲を均一に照らせる。
- デメリット:
- 点灯するまでに時間がかかる場合がある。
- 点滅に弱い(頻繁にオンオフすると寿命が縮む)。
- 微量の水銀を含んでいるため、廃棄時に注意が必要。
- LEDに比べると省エネ性、寿命で劣る。
- 主要メーカーで生産終了が相次いで発表されています。 これにより、将来的に交換用の蛍光灯ランプ自体の入手が困難になったり、価格が高騰したりする可能性があります。蛍光灯器具を使い続ける場合、この点を考慮する必要があります。
- 電気代: 白熱電球よりは安いが、LEDには及ばない。



蛍光灯の生産終了について、詳しくは以下の記事も合わせてお読みください。


3. LED電球


- 仕組み: 発光ダイオード(Light Emitting Diode)という半導体に電気を流して光らせます。
- メリット:
- 圧倒的な省エネ性
- 非常に寿命が長い(約40,000時間以上)。
- 点灯が速く、点滅に強い。
- 紫外線や赤外線の放出が少ないため、虫が寄りにくく、照射物の色あせも少ない。
- 衝撃に強く、割れにくい。
- 様々な光色(電球色、昼白色、昼光色など)を選べる。
- 省エネ・長寿命に加えて、多機能性も大きな魅力。(詳細は後述)
- デメリット:
- 購入時の価格が蛍光灯や白熱電球に比べて高い(ただし、寿命と電気代を考慮するとコストパフォーマンスは高い)。
- 製品によっては光の広がり方が異なる場合がある。
- 電気代: 3種類の中で最も安い。
【徹底比較】白熱電球 vs 蛍光灯 vs LED



それぞれの電球の特徴を表で比較してみましょう!
特徴 | 白熱電球 | 蛍光灯 | LED電球 |
---|---|---|---|
消費電力 | (非常に多い) | (LEDより多い) | (非常に少ない) |
寿命 | (約1,000~2,000時間) | (約6,000~12,000時間) | (約40,000時間以上) |
初期費用 | (安い) | (比較的安い) | (高い) |
電気代 | (高い) | (LEDより高い) | (安い) |
明るさ | (効率が良い) | ||
点灯速度 | (速い) | (時間がかかる) | (速い) |
耐久性 | (衝撃に弱い) | (割れやすい) | (衝撃に強い) |
環境負荷 | (水銀含む) | (水銀不使用) | |
機能性 | (無し) | (ほぼ無し) | (多機能) |
【LEDの魅力】省エネだけじゃない!便利な機能をご紹介
LED照明は、電気代の安さや寿命の長さだけでなく、暮らしを豊かにする様々な機能を備えています。ここでは代表的な機能をご紹介します。
- 調光機能(明るさ調整):
- リモコンなどで明るさを段階的または連続的に調整できる機能です。
- 勉強や読書の時は明るく、リラックスタイムは暗めにするなど、生活シーンに合わせて最適な明るさに設定できます。
- 調色機能(光色調整):
- 光の色合いを暖かいオレンジ色(電球色)から、さわやかな白い光(昼光色)まで調整できる機能です。
- 朝は活動的な白い光、夜はリラックスできる暖かい光など、時間帯や気分に合わせて光の色を変えることで、より快適な空間を演出できます。体内リズムを整える効果も期待されています。
- タイマー機能:
- 設定した時刻に自動で点灯・消灯できる機能です。
- 「おやすみタイマー」で就寝時の消し忘れを防いだり、「留守番タイマー」で不在時に在宅を装い防犯対策に役立てたりできます。
- 防虫構造:
- 多くのLED照明は、虫が寄り付きやすい原因となる紫外線をほとんど放出しません。
- さらに、照明器具本体のカバーと本体の間に隙間ができにくい構造(防虫構造)になっている製品が多く、カバー内に虫が侵入しにくいため、掃除の手間が省けます。
これらの便利な機能は、LED照明(特にシーリングライト)ならではのメリットと言えるでしょう。
電気代はどれくらい違う?
具体的な電気代を比較してみましょう。 (※同じ明るさ(例:60W形相当)で、1日8時間、年間330日使用した場合の目安。電気料金単価を31円/kWhとして計算)
- 白熱電球 (消費電力54W): 約54W ÷ 1000 × 8時間 × 330日 × 31円/kWh ≒ 4,422円/年
- 蛍光灯 (消費電力12W): 約12W ÷ 1000 × 8時間 × 330日 × 31円/kWh ≒ 982円/年
- LED電球 (消費電力7W): 約7W ÷ 1000 × 8時間 × 330日 × 31円/kWh ≒ 573円/年
【お悩み解決】蛍光灯シーリング、LEDに替える?ランプを買い溜める?
現在、蛍光灯のシーリングライトをお使いで、「LEDシーリングライトに買い替えるべきか、それとも生産終了前に蛍光灯ランプを買い溜めして使い続けるべきか」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
蛍光灯器具本体も寿命(一般的に8~10年程度)があるため、ランプを交換し続けても、いずれ器具ごと交換が必要になります。
どちらが長期的に見てお得になるか、ご自身の利用状況に合わせてコストシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションの考え方
比較するポイントは、「初期費用」と「ランニングコスト(電気代+ランプ代)」の合計です。
- パターンA:LEDシーリングライトに買い替える場合
- 初期費用:LEDシーリングライト本体の購入費用+(場合によっては)取り付け費用
- ランニングコスト:LEDの電気代(蛍光灯より安い)
- ※LEDは寿命が約10年以上と長いため、この期間内のランプ交換費用は基本的に不要。
- パターンB:蛍光灯ランプを買い溜めて使い続ける場合
- 初期費用:買い溜める蛍光灯ランプの費用
- ランニングコスト:蛍光灯の電気代(LEDより高い)+ 定期的なランプ交換費用(ストックから使用)
- ※器具本体が寿命を迎えた場合、結局LEDシーリングライト等への買い替え費用が発生。



8畳タイプのシーリングライトを例に、シミュレーターで比較してみましょう!ご自身の利用状況に合わせて、利用時間と利用日数を入力してみてください。
ランニングコストシミュレーター
※計算条件
- 電気代は1kWhあたり31円で計算
- 8畳用LEDシーリングライトの初期費用は10,000円を想定
- 蛍光灯シーリングライトの交換費用は3,000円(32形+40形セット)を想定
- 消費電力:蛍光灯75W、LED40W(同等の明るさ4,000ルーメン)
- 製品寿命:蛍光灯9,000時間、LED40,000時間
コスト比較の代表例
参考として、以下の条件で10年間のコストを比較してみましょう。
【シミュレーションの前提条件】
- 比較期間:10年間
- 年間の点灯日数:330日
- 1日の点灯時間:8時間
- 電気料金単価:31円/kWh
- 対象器具:8畳用シーリングライト(明るさ目安:4,000ルーメン)
- LEDシーリングライト:初期費用10,000円、消費電力40W、寿命40,000時間
- 蛍光灯シーリングライト:
- ランプ交換費用(32形+40形セット):3,000円/回
- 消費電力:75W
- ランプ寿命:9,000時間
【計算結果】
- パターンA:LEDシーリングライトに買い替える場合
- 初期費用:10,000円(LEDシーリングライト本体)
- 年間の電気代:0.040kW × 8時間/日 × 330日/年 × 31円/kWh ≒ 3,274円/年
- 10年間の電気代:(0.040kW × 8時間/日 × 330日/年 × 31円/kWh) × 10年 = 32,736円
- 10年間のランプ交換費用:0円(LEDの寿命は40,000時間 ≈ 約15年相当 のため)
- 10年間の合計コスト(目安):10,000円 + 32,736円 = 42,736円
- パターンB:蛍光灯ランプを買い溜めて使い続ける場合
- 10年間の総点灯時間:8時間/日 × 330日/年 × 10年 = 26,400時間
- 必要なランプ交換回数:26,400時間 ÷ 9,000時間/回 ≒ 2.93回 → 3回交換が必要(※初期のランプは除く)
- 初期費用(ストック用ランプ代):3,000円/回 × 3回 = 9,000円
- 年間の電気代:0.075kW × 8時間/日 × 330日/年 × 31円/kWh = 6,138円/年
- 10年間の電気代:6,138円/年 × 10年 = 61,380円
- 10年間の合計コスト(目安):9,000円 + 61,380円 = 70,380円
- ※上記に加えて、蛍光灯器具本体(寿命8~10年)が10年の間に故障した場合、別途器具の購入・交換費用が発生します。
【代表例での結論】
また、蛍光灯器具本体の寿命も考慮すると、その差はさらに開く可能性があります。
もちろん、LEDシーリングライトは調光・調色機能など、蛍光灯にはない付加価値も期待できます。
【簡単取り付け】引掛けシーリングなら工事不要?



LEDシーリングライトに替えたいけど、取り付けが難しそう…



電気工事が必要なんじゃないの?
そんな不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。でも、安心してください。 多くのご家庭の天井には「引掛けシーリング(ひっかけシーリング)」と呼ばれる照明器具用の接続部品が付いています。


天井に設置されている、照明器具に電気を供給し、かつ器具本体を支えるための部品です。いくつかの形状(角型、丸型など)がありますが、基本的な役割は同じです。
お部屋の天井にこの引掛けシーリングが付いていれば、電気工事の資格がなくても、ご自身でLEDシーリングライトを取り付けることが可能です。
【簡単な交換手順(一般的なシーリングライトの場合)】


- 安全確保: 必ず部屋のブレーカーを落とすか、壁スイッチを切って作業してください。
- アダプター取り付け: LEDシーリングライト付属のアダプターを引掛けシーリングに取り付け、「カチッ」と音がするまで回してロックします。
- 本体取り付け: アダプターにLEDシーリングライト本体を取り付けます。
- コネクター接続: アダプターとLEDシーリングライト本体のコネクターを接続します。
- カバー取り付け: カバーを本体にはめ込み、時計方向に回転させて取り付けます。(回転式の場合)
- 点灯確認: ブレーカーを戻し、スイッチを入れて点灯を確認します。
- 引掛けシーリングが設置されていない場合や、配線が劣化している場合などは、電気工事士による工事が必要です。
- 取り付け方法は製品によって異なります。必ず購入したLEDシーリングライトの取扱説明書をよく読んで作業してください。
- 高所での作業になるため、安定した脚立を使用し、安全に十分注意してください。
引掛けシーリングがあれば、思ったよりも簡単に交換できることが多いです。まずはご自宅の天井を確認してみましょう。


【注意】蛍光灯器具にLEDランプだけ交換するのはNG?





シーリングライト本体はまだ使えるから、中の蛍光灯ランプだけLEDのサークル管(円形)や直管(棒状)に替えれば安上がりなのでは?
そう考える方もいらっしゃるかもしれません。確かに、蛍光灯器具に対応したLEDランプも販売されています(大手メーカー除く)。しかし、蛍光灯の種類によって注意点が異なりますが、基本的には推奨されていません。 その理由とリスクをご説明します。
直管蛍光灯・サークル管(環状・円形蛍光灯)の場合



パナソニックや東芝といった大手メーカーは、家庭向けパッケージの直管・丸形LEDランプを基本的に展開していません。 蛍光灯器具にそのまま装着できるLEDランプは業務用ルート限定です。
- 推奨されない主な理由:
- 器具内の安定器との相性問題・故障リスク: 蛍光灯器具には安定器という部品が内蔵されており、蛍光灯を点灯させるために電圧などを調整しています。LEDランプは蛍光灯とは仕組みが異なるため、この安定器を介して接続すると、相性が悪くちらつき・不点灯、最悪の場合は安定器の過熱・故障・発煙・発火のリスクがあります。安定器を取り外す工事(バイパス工事)には電気工事士の資格が必要です。
- 性能が十分に発揮されない可能性: 蛍光灯器具は蛍光灯ランプに合わせて設計されているため、LEDランプを取り付けても本来の明るさや光の広がりが得られないことがあります。
- 器具本体の寿命: 蛍光灯器具自体の寿命(8~10年程度)が来れば、結局器具ごと交換が必要になります。
- 保証対象外となる可能性: 指定外のLEDランプ使用による故障は、メーカー保証の対象外となることがほとんどです。
- 結論: 安全性・性能・長期的なコストを考えると、直管・サークル管の場合はLED照明器具に丸ごと交換することを強く推奨します。



事情があって、使用される際は、あくまで自己責任となることをご理解ください。
電球型蛍光灯の場合
ダウンライトやスタンドなどで使われる、電球と同じ口金(E26やE17など)を持つ電球型蛍光灯の場合は、事情が少し異なります。
器具側の安定器は基本的に問題にならない: 電球型蛍光灯は、ランプ自体に安定器が内蔵されているタイプが一般的でした。そのため、照明器具側には安定器がないか、あってもランプ交換時には影響しない構造になっています。
LED電球の仕組み: 一方、LED電球には蛍光灯のような安定器は不要で、代わりに「LEDドライバー(電源回路)」が電球の根元部分に内蔵されています。これがAC100VをLEDに適したDC電流に変換します。
そのため、同じ口金のLED電球に交換する場合、器具側の安定器との相性問題は基本的に起こりません。
ただし、以下の点には注意が必要です。
- 器具の適合確認: LED電球がその照明器具(特に密閉型器具や断熱材施工器具)に対応しているか確認が必要です。非対応だと熱がこもり、故障や短寿命の原因になります。
- 調光機能: 照明器具に調光機能が付いている場合は、調光器対応のLED電球を選ぶ必要があります。
- 器具の劣化: 電球型蛍光灯を長年使用していた場合、照明器具側のソケット部分などが劣化している可能性もあります。交換時に状態を確認しましょう。
まとめ:照明選びで電気代を賢く節約!
白熱電球、蛍光灯、LED電球の特徴と電気代、便利な機能、そして交換に関する注意点について比較解説しました。
- 電気代をとにかく安くしたいなら、LED電球(またはLEDシーリングライト)一択!
- 初期費用は高いが、長い目で見れば圧倒的に経済的。
- 寿命も長く、交換の手間も省ける。
- LEDは省エネだけでなく、調光・調色・タイマー・防虫などの便利な機能も豊富。
- 引掛けシーリングがあれば、LEDシーリングライトへの交換は自分でできる場合が多い。
- 安全・性能面から、蛍光灯器具へのLEDランプのみの交換は推奨されず、器具ごとの交換がおすすめ。
もし、ご自宅でまだ白熱電球や蛍光灯をお使いの場合は、LEDへの交換を検討してみてはいかがでしょうか。特に使用時間の長いリビングやキッチンの照明から交換するだけでも、電気代の節約効果を実感できるはずです。
この記事が、あなたの快適で経済的な照明選びの助けになれば幸いです。