知らないと危険!LED直管で火災事故?安全な交換方法と選び方の全て

LED直管取り付け
ほのか

照明をLEDにしたいけど、器具ごと交換するのは大変そう…

らいと

LED直管なら手軽そうだけど、本当に安全なの?

そんな疑問や不安をお持ちではありませんか? 近年、省エネ・長寿命で注目されるLED照明ですが、特に蛍光灯器具をそのまま使える「LED直管ランプ(LED蛍光灯)」については、誤った知識や選び方をしてしまうと、思わぬトラブルや、最悪の場合、火災などの事故につながる可能性もゼロではありません。

しかし、安心してください!この記事を最後まで読めば、LED直管の正しい知識、安全な交換方法、そして後悔しない選び方の全てがわかります。蛍光灯器具を活かして安全にLED化するためのポイントを、わかりやすく徹底解説します。

この記事でわかること
  • なぜLED直管の交換で「火災リスク」が語られるのか、その具体的な原因
  • 意外と知らない蛍光灯とLED照明の基本的な仕組みの違い
  • 「工事不要」LED直管の注意点と、見落としがちな「安定器」の問題点
  • 安全なLED化のために知っておきたい「バイパス工事」の重要性とメリット
  • 後悔しない!安全で最適なLED直管を選ぶための具体的な5つの鉄則
目次

なぜ今、LED直管を選ぶ人がいるの?(やむを得ない事情とLEDの魅力)

蛍光灯が生産終了

実は、主要な照明メーカーは2027年末までに蛍光灯ランプの生産を終了することを発表しており、私たちの身近な蛍光灯器具も、いずれはランプの入手が難しくなる時代が迫っています。そのため、計画的なLED照明への移行がますます重要になってきています。

では、なぜ多くの方が照明器具全体を交換するのではなく、「LED直管ランプ(LED蛍光灯)」を選ぶのでしょうか。それにはいくつかの理由があります。

「LED直管ランプ」は「LED蛍光灯」と呼ばれることがありますが、実際には蛍光灯の形状をしたLED直管ランプであり、蛍光灯そのものではありません。

LED直管ランプを選ぶ理由
  • 賃貸物件だから: 大家さんの許可なく、勝手に照明器具を交換できない。
  • 予算の都合: オフィスや店舗など、照明器具の数が多いと、一度に全ての器具を交換するのは大きな費用がかかる。
  • 手軽さ: とりあえずランプ交換だけで、LED化のメリットを享受したい。
イルミン博士

そして、もちろんLED照明自体の魅力も大きいです。

  • 省エネ: 蛍光灯に比べて消費電力が大幅に少ないため、電気代の節約に。
  • 長寿命: 蛍光灯の数倍長持ちするので、ランプ交換の手間やコストを削減。
  • その他: 点灯が速い、紫外線が少ないので虫が寄りにくい、環境に優しいなど、メリットがたくさんあります。

こうした背景からLED直管が選ばれることがありますが、手軽さの裏には知っておくべき重要なポイントが隠されています。

そもそも蛍光灯とLED照明って何が違うの?基本の「キ」

直管蛍光灯

安全な交換のためには、まず蛍光灯とLED照明の根本的な仕組みの違いを理解することが大切です。

  • 蛍光灯の仕組み:
    • 交流電源で光ります。
    • 管の両端にあるフィラメント(電極)間で放電し、発生した紫外線が管内の蛍光物質に当たって光ります。
    • 点灯には「安定器」という装置が不可欠で、電流を制御したり、始動のために高電圧を発生させたりします。グロー式の場合は「点灯管(グロー球)」も必要です。
  • LED照明の仕組み:
    • LED(発光ダイオード)という半導体が光ります。
    • 基本的に直流電源で光ります。家庭用の交流電源で使用するため、LED照明器具やLEDランプの内部には「AC/DCコンバータ」という回路があり、交流を直流に変換しています
    • 安定器や点灯管は必要ありません

この「安定器が不要」という点が、LED直管への交換を考える上で非常に重要なポイントになります。

要注意!お使いの蛍光灯器具と「安定器」のチェックポイント

蛍光灯の型番

ご自宅やオフィスの蛍光灯器具には、いくつかの種類があります。LED直管を選ぶ前に、まずどのタイプかを確認しましょう。

  • グロースターター式: 点灯管(グロー球)が付いているタイプ。
  • ラピッドスタート式: 点灯管がなく、スイッチを入れると比較的すぐに点灯するタイプ。蛍光ランプ自体に始動補助の工夫がされています。
  • インバーター式: 点灯管がなく、電子回路(インバーター)によって高周波で点灯させるため、瞬時に点灯し、ちらつきが少ないタイプ。
  • 電子スタート式: 点灯管(グロー球)は使用しませんが、ラピッドスタート式やインバーター式とも異なる専用の電子スターター回路でFL型(一般的にグロー式で使われる)蛍光灯を点灯させる方式の器具です。
照明器具の銘板

電子スタート式の器具は、市場に出回っている多くのLED直管で対応していません。LED直管の製品仕様や注意書きで、電子スタート式器具への対応可否を必ず確認する必要があります。

そして、これらの器具(特にグロー式、ラピッドスタート式、電子スタート式)に必ず内蔵されているのが「安定器」です(インバーター式の場合は安定器の機能もインバーター回路に含まれます)。この安定器が、実はLED直管への交換におけるトラブルの元凶になることがあります。

  • 安定器の寿命と劣化: 安定器にも寿命があり、一般的に8~15年程度と言われています。劣化すると、異音、異常な発熱、ちらつきの原因になるだけでなく、最悪の場合、発煙や発火といった事故につながる可能性も
  • LEDへの悪影響: 劣化した安定器をそのままにしてLED直管を取り付けると、LED管が正常に点灯しなかったり、寿命が短くなったりすることがあります。
  • 無駄な電力消費: 工事不要タイプのLED直管を使用しても、安定器は回路に残っているため、そこで電力を消費し続けます。せっかくのLEDの省エネ効果が薄れてしまうのです。

LED直管の落とし穴?「工事不要」の言葉を鵜呑みにしないで!

家電量販店などで「工事不要!今の器具にそのまま使える!」と謳ったLED直管を見かけることが多いと思います。確かに手軽ですが、いくつかの注意点があります。

  • 工事不要タイプの仕組み: これらのLED直管は、既存の安定器がついたままでも点灯するように設計されています。内部のAC/DCコンバータが、安定器からの出力を調整してLEDを光らせます。
  • 安定器は残ったまま: 前述の通り、安定器の劣化リスクや無駄な電力消費の問題は解決されません。
  • 相性問題: 既存の器具や安定器の種類・状態によっては、正常に点灯しない、ちらつく、異音がするなどの「相性問題」が発生することがあります。
  • LED直管の給電方式: LED直管には、管の片側の口金だけで電気を供給する「片側給電方式」と、両側の口金で供給する「両側給電方式」があります。 工事不要タイプでも、製品によって既存器具のどの配線を利用するかが異なるため、適合する器具が限定されることがあります。

「工事不要」という言葉だけで安易に選ばず、必ずご自宅の器具に適合するか、製品の注意書きや適合表をしっかり確認しましょう。

「バイパス工事」って何?メリットと、本当に必要なケース

より安全で確実にLED化のメリットを享受するために推奨されるのが「バイパス工事」です。

  • バイパス工事とは?: 既存の蛍光灯器具内部にある安定器や点灯管回路などを取り外し(または電気的に切り離し)、LED直管へ直接AC電源を供給するように配線を変更する電気工事のことです。
  • バイパス工事のメリット:
    • 省エネ効果最大化: 安定器などによる電力消費がなくなるため、LED本来の省エネ性能を発揮できます。
    • 安全性向上: 劣化した安定器などによる発熱や発火のリスクがなくなります。
    • 器具との相性問題解消: LED直管に直接電源が供給されるため、安定器や特殊なスターター回路との相性問題が起こりません。
    • LEDランプの長寿命化: 安定器などからの不安定な電力供給の影響を受けにくくなります。
  • 工事が必要なケース:
    • 既存の安定器が古い、または不調の兆候がある場合。
    • 電子スタート式など、適合する工事不要タイプのLED直管が見つからない、または動作が不安定な場合。
    • より高い省エネ効果と安全性を求める場合。
    • オフィスや店舗など、照明の使用時間が長く、数も多い場合(長期的なコストメリット大)。
  • 注意点: バイパス工事は電気工事士の資格が必要です。必ず専門業者に依頼してください。

法人や事業主の場合、多数の照明をLED化する際は、初期費用はかかってもバイパス工事を行うことで、ランニングコストの削減やメンテナンスの手間軽減、安全性の確保といった大きなメリットが期待できます。

【最重要】バイパス工事後の恐怖!間違ったランプ選びが火災事故を招く?!

LEDランプの事故情報

安定器の劣化にも注意が必要ですが、バイパス工事を行った器具は、内部の配線がLED専用に変わっています。そのため、改造前と同じ感覚でランプを取り付けると、非常に危険な事態を引き起こすことがあります。

以下のような危険性が指摘されています。

危険ケース1:片側給電方式にバイパス工事後、誤って「従来の蛍光灯」を取り付けた場合

蛍光灯のフィラメントに直接100Vなどの電圧がかかり、フィラメントが瞬時に焼損します。 この「焼損」は、単にランプが使えなくなるだけでなく、火花、発煙、異臭、そして最悪の場合、ガラス管の破損や周囲への引火による火災につながる可能性があります。

危険ケース2:片側給電方式にバイパス工事後、誤って「両側給電方式のLED直管」を取り付けた場合

LED管の内部回路と器具の配線が適合しないため、電源のL(ライブ)とN(ニュートラル)がショート(短絡)する可能性があります。 これにより、ブレーカーが作動して停電するだけでなく、過大な電流によってLED管や器具が破損したり、発火したりする危険性があります。

このように、バイパス工事後の器具は、適合するLED直管(指定された給電方式のもの)以外は絶対に使用してはいけません。この認識がないと、ランプ交換時に重大な事故を招く恐れがあるのです。

たむぞう

安全対策は絶対に行ってください!

  • 明確なラベリング: バイパス工事後は、照明器具に「LED専用」「〇〇給電方式専用」といったラベルを誰にでもわかるように必ず貼りましょう。
  • 関係者への周知徹底: ご家族やオフィスの従業員、清掃業者など、ランプ交換に関わる可能性のある全ての人に、器具の配線が変わったこと、そして適合するランプの種類を伝えましょう。
  • 交換時の確認: ランプを交換する際は、必ずラベルと新しいランプの仕様を確認する習慣をつけましょう。

失敗しない!安全なLED直管の選び方【5つの鉄則】

では、具体的にどのようにLED直管を選べば良いのでしょうか?安全に選ぶための5つの鉄則をご紹介します。

  • 【鉄則1】既存器具の方式に適合するか徹底確認!
    • ご自宅やオフィスの蛍光灯器具が、グロー式、ラピッドスタート式、インバーター式、電子スタート式のどれなのかをまず確認しましょう。
    • 工事不要タイプを選ぶ場合は、製品パッケージやメーカーのウェブサイトにある注意書きをチェックしてください。
  • 【鉄則2】工事の有無と給電方式を理解する!
    • 工事不要タイプを選ぶのか、バイパス工事を行うのかを決めましょう。
    • バイパス工事を行う場合は、工事後の器具が「片側給電専用」になるのか「両側給電専用」になるのかを工事業者としっかり確認し、それに適合したLED直管を選びます。
  • 【鉄則3】明るさ(lm:ルーメン)・色温度(K:ケルビン)は使用場所に合わせる!
    • 明るさは「ルーメン(lm)」で示されます。数字が大きいほど明るくなります。今まで使っていた蛍光灯のワット数と、LED直管のルーメン値を比較して選びましょう。
    • 色温度は「ケルビン(K)」で示され、光の色合いを表します。昼白色(活動的な空間に)、昼光色(細かい作業や勉強に)、電球色(リラックスしたい空間に)など、お部屋の用途や好みに合わせて選びましょう。
  • 【鉄則4】信頼できるメーカー・PSEマーク・保証期間で選ぶ!
    • 極端に安価な製品や、メーカー名が不明な製品は品質に不安がある場合があります。信頼できる国内メーカーや実績のあるメーカーの製品を選びましょう
    • 電気用品安全法に基づいた「PSEマーク」が付いていることを確認してください。
    • 保証期間が長い製品は、品質に自信がある証拠の一つです。
  • 【鉄則5】少しでも迷ったらプロ(電気工事店)に相談!
    • 適合する製品がわからない、バイパス工事について詳しく知りたいなど、少しでも疑問や不安があれば、街の電気工事店に相談しましょう。安全に関わることなので、専門家のアドバイスを受けるのが一番です。

【コラム】家電販売員の本音「LED直管、実はあまり売りたくないんです…」

蛍光灯の生産終了が近づき、LED直管の販売数は確かに伸びています。しかし、その裏側で、家電販売員を悩ませているのが「点灯しない」「ちらつく」といった理由での返品の増加です。

お客様には、器具の型番確認の重要性や、適合しない場合の相性問題、バイパス工事の選択肢など、できる限りのリスクをご説明した上でご購入いただいているそうです。それでも、「うちの器具には合わなかった」というケースが後を絶たず、返品率は他のLED照明に比べて正直かなり高いのが実情です。

もちろん、正しく適合すれば非常にメリットの大きい商品であることは間違いありません。しかし、お客様がご自宅の器具の細かな仕様まで把握されているケースは稀です。

おすすめのLED直管をご紹介!

直管LED

ご家庭に、オフィスに、最適なLED直管ランプをご紹介します。

イルミン博士

この記事で解説したポイントを踏まえ、信頼できるメーカーの製品を選びましょう。

ご家庭用におすすめ:オーム電機

手頃な価格で基本的な性能を備えたLED直管ランプを多くラインナップ。グロー式器具に対応した工事不要タイプなど、一般家庭での交換に適した製品を多く販売しています。まずはLED化を試してみたいという方にもおすすめです。

ご家庭用におすすめ:アイリスオーヤマ

コストパフォーマンスに優れ、豊富な種類のLED照明を手がけるメーカーです。LED直管ランプも、様々な蛍光灯器具に対応したモデルや、明るさ・色温度のバリエーションが豊富なので、ご家庭の様々な場所に合わせて選びやすいのが特徴です。

オフィス・施設用におすすめ:ホタルクス(HotaluX)

旧NECライティングの技術を受け継ぎ、オフィスや工場、店舗といった業務用照明で高い信頼を得ているメーカーです。高品質で長寿命、そして省エネ性能に優れたLED直管ランプは、プロの現場でも安心して使用できます。まとまった数の導入を検討している法人様にもおすすめです。

まとめ:正しい知識で、安全・快適なLED照明ライフを!

LED直管ランプは、正しく選び、正しく使えば、電気代の節約やランプ交換の手間削減など、多くのメリットをもたらしてくれます。しかし、その手軽さの裏には、今回ご説明したような注意点やリスクも潜んでいます。

特に、バイパス工事を行った後の器具の取り扱いは、火災などの重大な事故を防ぐために細心の注意が必要です。

この記事で得た知識を元に、ご自身の状況に合わせて最適なLED直管を選び、安全で快適なLED照明ライフを実現してください。

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